attention!
ヌヴィレット先天性カントボーイで、リオヌヴィ。
色々あって月に一回、ヌヴィレットの処女検査をすることになったリオセスリのお話。
「貞操の危機」 A5/P64/R18/600円 2/11 神ノ叡智14 西3ホール ヌ59a すばる
再録+続き話書き下ろし。全部で約56000文字の2段組。
このサンプルは、書き下ろし部分冒頭から半分くらいの掲載となります。
<一か月後――>
それはちょうど……一つのため息をついた後、リオセスリが執務机に設置された卓上カレンダーをパタリと閉じた瞬間であった。
コンコンコンと、規則正しく執務室の扉を叩く音が下から響いた。ノックというのは案外特徴が出るもので、これは平素執務室前でメロビデ要塞受付エリアを監視している看守二人のうちのどちらかというのは、その時点で予想が付いた。
「公爵様、ご来客の方がいらしておるのですが……」
「ん? 誰が来たんだ」
「それが、その……」
「まあ、いい。通してくれ」
普段割ときびきびと背筋を伸ばして要件を読み上げる看守の一人の筈だったが、今のはどうにもこうにも歯切れの悪い声であった。しかし、さすがに不審な者を通すように訓練されているわけではないので、リオセスリは入室を許可するいつもの声を出したのだった。淀みなく開いた扉から、少しの螺旋階段を登る堂々とした足音が響く。そうして。
「ごきげんよう、リオセスリ殿」
「ヌ、ヌヴィレットさん? どうやって、あんたがここに」
白い長いフードを頭から被り優雅に表れたのは、水の上の統治者でもありこの国の最高審判官であるヌヴィレットであった。ここまでリオセスリが驚いたのも無理はない。数分前まで頭を悩ませていた人物の登場であるから、仕方ないのだ。まさかの元凶の出現に、思わず椅子から乱雑に立ち上がる。
「突然の訪問で、驚かせてしまったようだな。すまない。一応なるべく目立たないようにメリュジーヌに頼んで、専用ルートで中に入れてもらった」
「そう、か。しかし俺の執務室だと、職務中で他の奴も来るし。場所を変えた方がいいな」
いくらメリュジーヌの助力を得たとはいえ、本当に共もつけずに一人でやってきた様子であった。今まで有事でなければヌヴィレットが水の下に赴いた事はなかったので、慎重を期すに越したことはないだろう。口堅く教育している看守達にバレたくらいなら何とかごまかしも聞くが、囚人相手となるとさすがのリオセスリもコントロールが難しい。あまりに突然すぎて手頃な場所がみつからなかったので、仕方なくリオセスリは鍵がかかる自らの私室にヌヴィレットを招き入れる事となった。
今はリオセスリの寝室となっているが、この部屋は元々歴代のメロピデ要塞管理者の私室である。リオセスリは単身者だが、時には所帯持ちの管理者もいたようで、他の看守たちの部屋よりは倍くらいの広さはある。どちらかというとこの私室で過ごすよりは執務室で音楽を聞いたりティータイムに興じる事が多いので、リオセスリはこの部屋を寝る事にしか活用していない。背もガタいもそれなりにあるので、ベッドが広い事だけは利点だが、それが今仇となってしまったのは、手頃な椅子がないので私室に通したは良いものの、ヌヴィレットが腰かける場所がベッドしかないということだった。
「それで。どうしてメロピデ要塞に?」
「見舞いに来たのだが……その、具合はどうだろうか?」
「見舞い? 一体、誰を」
「もちろん、リオセスリ殿をだ。見たところ変わりはないようだが、もしかして無理をしているのだろうか?」
「いや、俺は至って健康だが」
身体が資本な事もあるし、簡単には弱みを見せる事の出来ない管理者として健康管理にはそれなりに気を使っている。若い頃は拳闘で色々と無茶をしたから、看護師長には随分と世話になった。しかしそもそもここ数年、まともに風邪などもひいた記憶がない。なぜそのような勘違いをしたのか。いや、たとえリオセスリが風邪などをひいたとしても、わざわざヌヴィレットが足を運んで見舞いに来るという理由がわからなかった。
「再三にわたる私の呼び出しに、君が応えてくれないので。てっきり怪我か病気をしているのだと思ったのだが……」
立ちっ放しのリオセスリに向かってベッドに腰かけながら、きょとんとしながらの上目遣いでそう疑問の声を出した。
そうしてそこまで言われて、ようやくリオセスリは全ての合致が付いたのだった。必要な公務のやりとりとしての文書の行き来は問題なく取り交わしている。緊急性が高い業務はもちろん特別便を出すが。それ以外に今まで秘匿のある二人の間のやり取りとして存在していたのが、月一の定例会合であった。大体の日取りは決まっており、あとは時間と打ち合わせ場所を予めヌヴィレットから指定されるので、リオセスリ側がすり合わせるのだが。今回に限っては、以前のような明確な返事を出さなかったのだ。
ちょうど一か月前も定例会合があった。その際、ヌヴィレットは自らのセカンドハウスにリオセスリを招き、より厳格な審査を求めたのだった。そう……処女検査とかいう御伽噺もびっくりな健診を強いられ、尋常ではない忍耐力を試された。そうして極限まですり減らされた。何とかその場は鋼の意思で乗り切ったものの、また次の会合場所は当然のようにあの惨劇が起こったセカンドハウスと指定されれば、リオセスリとしては最大に警戒するに決まっている。
「あーヌヴィレットさん。はっきりと欠席の理由を記載しなくて、それはすまなかった。だから、確認書の紙だけ送ってくれるので良かったんだが」
「それはもしかして。君も、歴代のメロピデ要塞管理者と同じとなってしまうのか?」
「そういうつもりはないが、大体ほら。先月、一回は確認したんだから、もう十分だろ?」
未だに思い出すと頭を悩ませる一夜だったので、なるべく直接その事項にリオセスリは触れたくなかった。あの誘惑を耐えきった自分の忍耐力は素直に称賛に値するだろう。誰にも言えないけど。それくらい魅惑的な夜であった。そんな露骨な相手が今目の前で『再度』を要求するとなると、自室だというのに逃げ出したい気持ちにもなる。
「確かにそのような考え方もあるが、これは定期検査として最高審判官と要塞管理者に義務付けられている。君は職務怠慢を犯すつもりだろうか?」
「生憎、罪を犯しても投獄先がメロピデ要塞なら俺には意味がないね。もし罰金がモラだっていうなら、有り金を渡してもいい。どうせ水の下では無用の産物だ。さあ、確認書を出してくれないか。サインをするから」
右手を差し出して、早く今回の確認書をとリオセスリは催促する。なんとかのらりくらりと躱そうとしたが、早く結論づけた方がいいと判断したからだ。
「君は、私がこの一か月純潔だとその自己申告を信じるのか? 水の下からそのような監視が出来るわけがないのに」
「今のフォンテーヌに、あんたに無体を働ける奴なんていないだろ?」
「そうかもしれない、が」
ゆらりとヌヴィレットはベッドから立ち上がった。そうしてようやく確認書を手渡してくれるのだろうと、リオセスリが一息ついて全身の力を抜いたそのタイミングだった。差し出した右手をそのままぐいっと引っ張られる。並の人間ならちょっとした関節が外れるかもしれないくらいの力だったので、とっさにリオセスリは受け身を取ったのは本能だっただろう。そのままヌヴィレットごと、ベッドにダイブすることとなった。
「こうやって、私自身が望んだとしたら? 可能性はある」
引っ張られたリオセスリの右手をそのままヌヴィレットは、自身の下半身に軽く添える。フォンテーヌを象徴する深い水蒼の最高審判官服は、分厚い外套越しだからこそ本来ならば何も覗う事が出来ない筈であった。だが、リオセスリは既に知っている。その先にあるものが、見た目通りのものではなく、隠されたつつましい女性器である事を。本来の全容は明らかになってはいないというものの、あの日。リオセスリはヌヴィレット自身よりもよほど多くここに触れて、味わう事になった。だから思い出して、つい熱くなる。
「っつ! ヌヴィレットさん、俺はもうあんたの身体検査とやらに付き合うつもりはないぞ?」
「わかっている。君はそれで仕方ないだろう。だが、私自身は最高審判官の資質を疑われる懸念を排除する必要がある」
「あんたが今までと同じく普段通り過ごしていれば、懸念はない」
「……そうもいかない。私は今まで、純粋な人ではないこの身体に積極的に関わって来なかった。だが、前回の君との触れ合いを経てきちんと向き合わなければいけないと思った。だから、私もただ手をこまねていていたわけではない」
ようやくリオセスリの右手を一時的に放してくれたものの、ベッドから立ち上がる事は許されていない。ただ何かヌヴィレットには確信めいたものがあるらしく、一歩踏み出すように声を出した。
「この一か月で、私は君が指摘した……自慰を実践した」
「は? ヌヴィレットさん、が」
この国でメリュジーヌに次いで性欲との対局にいそうな人物から、驚愕的な単語が飛び出た。それも法律用語を読み上げるような淡々とした扱いをした口調だった為、頭がバグりそうになった。
「なぜそのような不思議そうな顔をする? そもそも私に、自慰の経験を尋ねたのはリオセスリ殿だったではないか」
「あの時は……必要だったから、念のため聞いただけだ」
「私は思い知ったのだ。自慰も満足に出来ないからこそ危機感が足りず、純潔の判断も危ういのだと」
なんだか本末転倒な気がリオセスリはした。卵が先か鶏が先か。そもそも純潔という名の裁定が、ヌヴィレットと噛み合っていないような気がするのだ。一か月前、勢い余ってヌヴィレットの秘所に指を突っ込み且つ素股までしてしまったが、それをヌヴィレットは処女検査に必要な事だと満足し納得していた。もはや性器の挿入しなければなんでもアリと思っているようだし、その挿入さえも本当に入らないのか見極めたいと積極的であった。確かに、性的知識が無ければいざというときの回避方法も難しいのかもしれないが、判断基準のズレをすり合わせるのは難しく感じた。
「リオセスリ殿は、自分の体を知ることは悪いことと思うのか?」
「そうとは言わないが」
「ならば安心した。それで、自慰を慣行してみたのだか、残念ながらリオセスリ殿に触られた時のように上手くいかなかったのだ」
「えーと、わざわざ俺に感想を伝えなくていいいから」
何か非常に嫌な予感がして、リオセスリは押し込められたベッドから、じわりじわりと後退しようとシーツの上の横滑りを企てた。だって、このような話題を口にするとき、普通ならばもっと恥じらいだとか戸惑いなどを見せるべきタイミングなのに、ヌヴィレットは非常に深刻な顔をするばかりなのだ。前回さすがにリオセスリも学んだ。余計な話を聞くと巻き込まれるという事をだ。
「いや、これは大切な事だ。それで、自慰が上手くいかないのであれば、私の身体を見知った先導者であるリオセスリ殿に助言を得たいと思ったのだ」
「まさか、俺にアドバイスしろってことか?」
「可能ならば、指南書を書いて欲しい」
めちゃくちゃ真面目にヌヴィレットはこちらに向き直って、パレ・メルモニア執務室で対応するかのような真剣な表情をした。しかし、いざ公務で向き合うときはビジネスライクとして適切な距離は保っているものの、今は軽く密着していると言っても差し支えはないし、一度は手放した右手をまた取られてヌヴィレットの両手で握られて懇願されている。その内容が自慰の指南書などというトンデモでなければ、大抵の事なら頷いてしまうほどの必死さだった。
「流石にそれは無理だ、ヌヴィレットさん」
「自慰に関する一般的な書籍を、私の立場として手に入れるのは容易ではない。横流しを君に依頼するのも忍びないから、自費出版を願いたいのだが」
「本当に勘弁してくれ……」
「しかし、必要な指南書が手に入らないと、私は困る……」
「中途半端に教えた俺にも、確かに責任があるとは思うが」
自慰の作法とか……そういう本を清廉潔白の象徴でもあるヌヴィレットが手にして読み込んでいるのを考えるだけでもリオセスリは正直、想像したくなかった。縁がないから探した事はないが、もちろんまるでないというわけではないだろう。何が書かれているかは知らないが。本来ならばこのようなセンシティブな事項は、仲の良い友人による人づてによる見聞や失敗の元の経験を積み重ねるのが一番なのだろうが、ヌヴィレットには確かに不可能であろう。だからリオセスリを頼って来たし、そもそもの発端としての一因があることは違いない。頭がかなり痛い事項ではあったが、目覚めさせてしまった責任の一端くらいは受け入れるしかない。
そうでなくては、ヌヴィレットは帰ってくれないという意気込みだったので、「……簡単なアドバイスくらいはしても良い」と仕方なく受け入れることとなったのだ。
◇ ◇ ◇
では準備をすると一声出したヌヴィレットは、その厳かな最高審判官服の外套を脱ぎ始めた。
何の躊躇もなくストリップショーをおっ始められたので、ぎょっとしたリオセスリは、ベッドの端に置かれたその外套を拾い上げて少し離れた先にあるクローゼットに近づきハンガーポールにかけた。アドバイスはするとは言ったもののこれから先にあるものではさすがにないから、仕方なくリオセスリ自身もその厚みのある外套を脱いで同じくポールにかけた。わざと背を向けるようにしたが、静かな室内で気配に敏感なリオセスリには、気にするなという方が無理であった。合間合間にパサリと落ちる衣擦れの音が入り混じる。このような場面でも公明正大な性格は体現されて、脱いだ衣服を生真面目に軽く畳んでいると思われる様子も聞こえる。いつまでも後ろを向いているも違和感があるので仕方なくリオセスリも、両の手に装着したグローブやテープを外すがとても間が持たない。
「リオセスリ殿、こちらの準備は整った」
呼びかけられて仕方なく振り向くが、あまり直接的にヌヴィレットの方は見ないように視線を斜めにズラす。それでもあの完全防備な最高審判官服を脱ぎ捨てたヌヴィレットが自分のベッドの上に座り、視界の隅っこにいるのだから、見ないわけにはいかない。良かった……流石に全裸ではなかったが、それは多分そのような姿となったら、冷暖房のスイッチを入れていないこの部屋では寒いからだったかもしれない。
結局身に着けた衣服の大半は取り払って、その長いブーツも含めてベッドサイドに片づけたものの、白い裾フリルの着いたブラウスじみたシャツ一枚で、ベッドの上にちょこんと座っていた。先月、ヌヴィレットのセカンドハウスにてベッドの上で対峙した際は、長い前開きローブ越しだったので、その時より尻なども隠れず余程無防備となってしまった。電気を消したわけではないからして、白い足は惜しみなく晒されているし、シャツも白いのでシーツと銀糸の髪も揃って同化しそうなくらいな印象だった。いつもはキツく結ばれている首元の装飾も取り外されて、前開きのシャツはボタンを全て外され開かれて薄っすらと胸部も腹部も見え隠れする。もちろんヌヴィレットの身体は男体なのだが、それでもすらりと引き締まった身体に、骨格的にあひる座りも出来ないようで、軽く膝を立てられるとその先にあろうものがチラチラと見え隠れしていた。本当に、このような危うい身体をよくぞ今まで隠し通せたと、そこには感心する。
「これから自分で触るので、至らない点があったら指摘して欲しい」
「……ああ」
今度はベッドサイドにリオセスリが腰かける事となる。
いつもリオセスリが就寝に使用している枕を背に、ヌヴィレットは軽く腰を付けて寝そべった。それだけでも十分に背徳的なのだが枕やシーツに広がる長い髪が余計に魅惑的に映った。
そうして、薄っすらとシャツに隠されていたヌヴィレットの下半身が赤裸々となる。うっかり露骨に視界に入れてしまって、思わず反動的に顔をそむけたくなったが、ヌヴィレットの身に着けている下着は紛れもなく女性用の白い紐パンであった。前回は、純粋な男性ではない事を強調するためにわざと下着を着用していなかったのであろうが、今回は流石に普段着から衣服を脱ぎ捨てた為、いつも身に着けているものなのだろう。
紐パン――いつものあのお堅いすまし顔の下にこんな仰天する下着を身に着けていると知っている男は、多分リオセスリだけである。恐らく特殊な下半身であるからこそ、あまり下着の線が出ないようにと配慮した結果が、これであろう。一応紐パンといえどあまりレースなどが施されたきらびやかなものではないが、そのシンプルな装飾だからこそ無垢なヌヴィレットを体現しているようで、似合っていた。いや、そんな感想を一瞬で頭の中で整理つけている場合ではない。
仰向けに軽く寝そべったヌヴィレットは、足を立てて内股であった。すっとリオセスリの前で内ももを開くと、つまびらかに紐パンの全容が明かされてしまう。
「その、直接触るのは、やはり少し抵抗があって。下着の上から試しているのだが」
そろりと利き手を下半身に伸ばしたヌヴィレットは、自身の中で一番肉厚かもしれないその内股に存在する双丘へ指を当てた。そうして、恐る恐ると言った様子ではあったが、下着越しに何度がそろそろと撫で始めた。ヌヴィレットの桜色をした綺麗な爪先が、快楽を求めて慰めている姿が披露される。初めからそうするとわかっていたとはいえ、それでもリオセスリはとんでもないものを目撃しているという事を改めて実感した。リオセスリの前ではあれだけ大見得を切ったものの、やはりこれが人に見せるには恥ずかしい行為ということはわかっているらしく、戸惑いは隠せていない。
たどたどしくも、すりすりと布地の上を指先が滑るだけだった。確かにリオセスリも最初優しくそう触れたのだから、手順としては間違っていないのかもしれない。だが、一度強制的にヌヴィレットはその先を知ってしまった。それと比較すれば、赤子のようだと言っても差し支えがないだろう。どこかで、物足りなさを隠しきれない表情であった。
「ヌヴィレットさん。全体を擦って馴染んだら、次は割れ目を少し重点的に撫でて」
「……こう、だうろか?」
未だ実感は薄いようだが、少しずつ指先の重点が虚ろな焦点から切り替わる。
白い下着は紐パンのせいで押し付けられている部分もあり、元からふっくらとした双丘の形が見え隠れしていた。少しずつ双丘に包まれて秘匿されているナカから、存在を主張するものがある。割れ目に沿って、すすーぅと何度かたどたどしい指が上下へ行き来する。時にいじらしく困惑な様子は見受けられるものの、元来の性を知らない身体は正直になってくる。秘裂の隆起が少しずつ明らかとなり、その蜜壺に接する布地がすうっと吸い付いた。とても小さいが恥ずかしい染みが細い紐パンに刻まれた。隠された奥底は、着実に雫を生成している。満遍なく秘裂に指をやっているヌヴィレットは、それに気が付かないのだろうか。視界的にも見えるわけではないし、何とか言われたとおりに指を動かそうと必死感もある。
「そう、それでいい。なんだ、出来てるじゃないか」
「ここ……までは。なんとか……んっ…、でも、」
「大丈夫だ。だから、もっと割れ目の上のトコ触って」
目線をくいっと上げて、リオセスリはその場所を指示した。そこが気持ちの良い場所な事は、前回で学んでいるではあろう。秘裂の一番上にある突起。陰核であることは、理解しているだろう。ヌヴィレットの一番弱い肉芽が、もう震えて待っている。既に蜜壺から生成された雫はぷくりぷくりと数を増やしているようで、秘裂から覗いた媚肉全体へと染みわたり始めていた。寄りにもよって白い紐パンなどというセレクトを受けたせいで、濡れた媚肉は明確に布の下の惨事を示し、リオセスリからは透けて見えていた。その中でも、ひと際快感を強請り待っているのが小さな赤い肉芽であった。ようやく押し込められた秘裂からゆっくりと姿を見せたというのに、下着によって中途半端な刺激を邪魔されて、きっとお冠だろう。もしかしたら、今までのヌヴィレットの自慰もそこにまで至っていないとしたらあまりにも待ち望み過ぎしすぎていたせいだろうか。ヌヴィレット自身も呼応して、少し口元から温かい息を吐いているようだ。
「はぁ……、やっぱり。これ、以上は……っ」
何とか言われた通り、敏感な肉芽に触れたものの、そもそも下着越しだと滑りが薄い。ヌヴィレットのおっかなびっくりとした手つきでは、肉芽にすっ、すっと触れる程度に軽くなぞる程度であった。そんな繰り返しが何度もあって、流石に意気消沈してしまったのか段々とヌヴィレットも思わず内股になってしまった。少しずつ臆していく様子がわかる。
「リオ……セスリ殿。たすけて、欲しい……私は、どうすれば……」
「……もう少しキツく、触ってみるか?」
「出来、ない。こわい……」
自分の身体なのに、一度強制的に開かれた記憶があるからこそ、加減がわからず困惑している。誰のせいだ。そうだ、リオセスリのせいである。こんなことになるとはその時思わず、とりあえずヌヴィレットの身体の一部を暴いたのだが、とんだ副作用であった。それでも内股はぷるぷると震えて、この先を望んでいる。でもヌヴィレット自身にはそれが出来ない。そんな痛く可哀そうな姿を晒している。仕方ない……
「……ヌヴィレットさん、下着越しとはいえ。あんたに触れる、それでも良いか?」
「ああ……待ってた」
ようやく安心する息を出したヌヴィレットは、膝裏を自ら抱えて足を開いて見せた。一度は閉じたすべらかな足が、リオセスリに暴いてもらうために再び開かれたのだ。それも先ほどより大きく、ぐいっと晒されてねだる。罪悪感はあったものの、教え込むには最適な環境であった。
目の前には、卑猥なシミを作って透けている秘裂で、じゅんと滲み濡れる。そうして次を期待して、下着越しでも少しずつ躍動しているのがわかる。
「ふ、……ぁ」
リオセスリは、なるべくゆっくりとヌヴィレットの下着に触れた。その双丘を集約するように優しく揉み、緊張感を解す。
正直滑りが足りない事は明白だったので、一度ぐっと蜜壺に当たる布地を指先で押すと、じゅっ、じゅっと愛液が染み出て来た。だが、かつての指先の挿入を思い出させる仕草だったのか、不意打ちに驚いたヌヴィレットは小さく声をあげて、腰を重く降ろした。少しの愛液を指先に辿ったリオセスリは、それが渇かないようにとそのまま濡れて浸る秘裂に沿って少しずつ上へ上がっていく。段々とせり上がるような感覚にヌヴィレットは身を任せてはいたが、自分より太いリオセスリの指の大きさに素直に快楽を受け入れている様子で、秘裂から少しだけ垣間見れる媚肉をりゅんっと指の腹で撫でれば、わかりやすくぴくりっと反応していた。だが、本当にヌヴィレットが欲しいのはそこではないのはわかっているので、長くは甘えさせずに、つうっと肉芽に触れた。そこは可哀そうに、見た目よりずっと切願していることを訴える膨らみとなっていた。
「っあ、そこ……っ」
「そうだ。ここがあんたの、弱いトコだ」
かつて導いてくれたリオセスリの指を覚えているのか、守られている皮から姿を現してくれていて、待望を歓迎してくれる。滑りはやはり足りないので仕方なく、小刻みに指先を動かす事となった。そのたびに生理的にヌヴィレットの腰は揺らめき、上半身の腹にも力が入っているようだった。何度か柔らかく肉芽を撫でるが、下着越しでは直接的に干渉できない。試しに軽く摘まむのも、布地による圧迫感があるようで少し嫌々をされてしまった。
「はっ、……それ、……。や……、んぅ………」
ならばとほんの少し爪先を立てて、さりゅさりゅと軽くひっかくように肉芽を刺激すると、多少の抵抗はあったがそれは痛いとかそっち系統ではないなとリオセスリは判断した。あがるヌヴィレットの声は嫌だと言うものの、それは未知に対する疑惑の声であって、本能ではないとわかった。
だから、爪先と指の腹をじっとりねっとりと使って一定の感覚で、こんっと押しつぶした。
「! …っ………あ! ……んっ…、、……んぁ! ………!」
布越しの中途半端な滑りが、リオセスリの爪に引っかかった。下着の一部が宙に浮き、僅かに空いた空間の中の解放感の中で、ヌヴィレットは絶頂を迎えた。腰の躍動によりリオセスリの指に肉芽を押し付けて、余すことなく甘い海に浸る。
「ヌヴィレットさん、大丈夫か?」
「……あぁ。……平気だ。しかし……下着が汚れてしまった」
もうずいぶんと前からその紐パンは使い物になっていなかったと思うのだが、直接視認していないヌヴィレットには自覚が薄かったのかもしれない。ただ、確かにヌヴィレットの愛液によって盛大に濡れた紐パンは、クロッチ部分が意味を為していないと言っても過言ではないだろう。
「っ……ヌヴィレットさん、何を?」
「脱ぐ。君のおかげで、ようやく準備が整った」
絶頂の余韻から目覚めたヌヴィレットは、一切のためらいもなく紐パンの横の紐を解いた。こういうところは流石に男らしいのだが、今のリオセスリが求めたものではなかった。サイドの紐を手早く外すと、いつもならばパサリと布地がシーツに落ちるのだろうが、濡れてくっきりと秘裂に張り付こうとしている下着は、ゆっくりと中身を晒すように重力に負けてぺりぺりと落ちていく様子をリオセスリに見せつけた。それも、糸を引くほどに濡れた愛液の様子を晒しながらだ。そうしてようやく日の下に明かされた秘裂は、一度達したことによって肉芽も肉びらも膣肉も程よく熟れていて、てかっていた。下着によって圧迫され、リオセスリの指によって押しつぶされていた媚肉はひくりと震えている。
これで準備が整ったとヌヴィレットは言ったが、何のことだかリオセスリは理解できない。
「準備とは?」
「膣に指を入れる。リオセスリ殿が検査出来ないならば、私がやるしかない」
「……自分で指を入れるのか? 今までやってことは」
「ない。だが、これ以上。君の手を煩わせたくはない」
宣言をしたヌヴィレットは、再び明確に足を開く。リオセスリに見せつける意図はないのかもしれないが、それでも体勢的に目の前でやられているので、明け透けなく全てが目下の光景であった。
割れ目にそってゆっくりと降りて来た白いヌヴィレットの右手人差し指が、蜜壺にぷちゃんっと浸った。それは指先の第一関節さえ望んでいないが、それでも肉芽さえも下着越しに弄れないと困惑していたヌヴィレットからすると、驚愕的な姿であった。一応先ほど達したおかげで満たされている蜜壺相手だから痛みなどはないだろうし、さすがに自分の指だから加減はなんとかわかるのであろう。
「リオセスリ殿、私の処女膜はどれなのだろうか?」
「あんた……なぁ。それは聞くのかよ」
「見えないのだから、助言を得るくらい良いではないか」
トンだ淫乱な光景を提供しているにも関わらず、もっと良く見ろとヌヴィレットはセクハラまがいの強要している事に気が付いていないのだろうか?それ以上の事を散々しているため、感覚が麻痺っている疑惑さえある。
「もう、少し触ってる」
「む? どこだ」
「その、ひだだ」
「わからない……もっと具体的に」
リオセスリは一度空を仰いでから、仕方なく指で軽く蜜壺に突っ込んでいるヌヴィレットの人差し指に少し触れた。指先に重なるようにすり寄って、ぐるりと処女膜を丸く示してやった。突っ込んでいるのはヌヴィレット自身の指だし、直接触れてないからこれが本当にギリギリだ。震える無垢な処女膜はヌヴィレットが虚無時間を迎えてしまったため、ちょっと渇いてしまったかもしれない。
「これだ」
「……なんとなく、わかったような。しかし、少し痛みが」
「だから、そう。無暗やたらと指っていうのは突っ込むもんじゃないんだ」
「しかしまだ確認が……中を動かしても、あまり気持ちの良いものではないし」
「!ヌヴィレットさん、……動かす……な」
ヌヴィレットの人差し指にリオセスリの指も添えているというのに気にせず、何とか奥に侵入しようと動かし始めた。追随するようにぬゅるりとしたヌヴィレットの膣肉に、リオセスリの指も誘導される。抵抗もなくつぷりと突き刺さったが、淀みなく指は進んだ。まさかあの狭さで入るわけがないとは思ってはいたが、自分の身体だからと加減をわかっているのかいないのか、ヌヴィレットは多少の痛みも気にせず割入っていったのだ。一度達した膣肉には、まだ外に出して切れてない雫がたくさん残っていて指二本くらいなら軽く受け入れてしまう態勢となっていたらしい。
「入ってる! ……俺の指、入ってるから!」
手伝っているで済むのか、これは。思わず引き抜きたいとは思ったが、ヌヴィレットの指も入っているからこそ迂闊に動かしたら、それこそ傷を付けてしまう。しかも、ヌヴィレットより浅い位置に指が入ったのでそれこそ大切な処女膜に何かがあったとしたら取り返しがつかないので、余計に身が縮んだ。
「ぁ……、なんか。いっぱいで……これ以上、は。うごかせ、ない」
「抜いてくれ。ヌヴィレットさんが抜けば、自然と俺の指も抜けるから」
「……頭では理解をしているが。こわくて、……出来ない」
戸惑ったのはヌヴィレットの方もだったらしく、第二関節程度まで指をようやく奥に入れた後。その場で停止してしまった。間抜けな体勢にも見えるが自分より奥に入れた為、どうせみっちり指を占領されてしまっているのだろう。これ以上どうすれば良いかわからないという表情をされる。快楽に身を任せるのが怖いのか。これは、再び膣を動かさないと確かに初心であるヌヴィレットには危ういかもしれない。変に動かれて、処女膜を破るのがヌヴィレット自身の指とかなったら洒落にならない。
「わかった。俺が何とかするから、指を抜けそうなタイミングがあったら引き抜いてくれ」
「何度も迷惑をかけて、すまない……」
今回ばかりは本当に反省しているらしく、塩らしく謝罪の言葉が降りて来た。
緊急事態だから仕方ないと割り切ったリオセスリは、ようやく向き直る事となる。正直、見ればみるほどヌヴィレットの膣は綺麗なものだった。小さく狭く色素沈着はまるでなく、まるで男心を擽る為だけに付いているかのようだった。触れるのも二度目なのに、未だどこまでも未成熟な姿を見せるのもすごい。そのおかげでこのような仕打ちを受けているのだが、それをも許してしまいそうな程に魅惑的であった。
「っあ、なに?」
「……とりあえず、外を触わっていれば気が紛れるかもしれないからな」
さすがに蜜壺に繋がる膣肉には触れないが、リオセスリは突っ込んでいない方の手で、再び秘裂を擦る事となる。しかし二度目は流石のヌヴィレットも辛いように見えた。いくら先ほどが布越しだったとはいえ、指を入れられながら同時に敏感すぎる肉芽に触れられるのは初心者には高度過ぎるとリオセスリも判断した。だから肉芽には直接は触れずに、布越しでは隠れていた外の肉びらをつぅ…と撫でる。ここが開かないと、その奥にある膣だって開く気にはならないだろう。縁に沿って形を自覚させるように肉びらを擦る。だが、あまりに大胆に動くと今度はヌヴィレットの腰が動いてしまう。指が入ったまま必要以上に腰が動くと、やはり危険を感じた。だからこそ、肉びらを丹念に開いた後は、リオセスリは肉芽と蜜壺の間にある小さな穴をくすぐる事とした。
「んっ! …………、あっ、…そこは。……なん、だか。むずむず、する」
可愛い穴の一つである。気を紛らわす為にヌヴィレットの尿道の出入り口を擦ると、はじめての感覚にぶるぶると震えている。肉芽とはまた方向性の違う敏感な場所であるから、爪を立てるような無理強いはしない。それでも、ひくひくと軽い痙攣が見られるから効果はあるだろう。理解しにくいジレンマのおかげで、ヌヴィレットに突っ張った余計な力が抜けているような気がする。
「そのまま、身を任せていてくれ」
「ふっ……、…ん」
「すまないが……ナカを開いてもらいたいから、少し動かす」
少しだけこくりとヌヴィレットは頷いたような気がする。
だから、ようやく本題に入る。五百年間閉ざされていた秘所を無理を言ってこじ開けるのだ。前に指を入れた時は、本当に数十秒にも過ぎない時間であった。だからこのように指を二本も入れっぱなしというのは想定していない。それでも、傷みなく引き抜くためには多少は開いてもらわなければいけない。蜜壺の外は、達したことを忘れたくらい湿り気が失せていた。少し赤くなったのは、乾燥しそうになっているからだ。これで引き抜いたら痛覚を刺激するのは必須だ。
改めて侵入の許可を得る。謝罪をするように、二本指の入っている蜜壺を撫でた。
「んっ、……んっ、…………それ、」
「ヌヴィレットさん、これは駄目か?」
可哀そうなくらい敏感で、震える処女膜をくすぐる。割り開かれた赤いひだは、披裂することはないが、きゅうきゅうと苦しそうに二本の指を咥えている。普段はつつましい様子だろうが、今日ばかりは多少の無理を強いたい。リオセスリは一声かけてから、突っ込んでいる指をぐにゅりと動かす事となる。位置的にリオセスリは奥深くまで指を入れられないので、結果的に浅いところばかりを入念に弄る事となる。
「ちが…っ、。…イヤ、じゃない……けど。……なんか、そんな。何度も………あんっ!」
俗に染まって貰うのは難しいと思ってはいたが、さすが純真無垢なだけあって順応してくれるらしい。たん、たんっとリズムよく指を動かすと、そのたびにヌヴィレットの媚肉は喜ぶようにリオセスリの指に絡みつくし、ヌヴィレットも少し甲高い声を発して反応してくれる。上辺だけ擦っていても本来は、そこまで快楽を得るのは難しい筈だが、何もかも初めてなヌヴィレットには効果があったらしい。どっぷりと漬かっている蜜壺から雫が漏れてくる。
指先で探れる範囲の全体を幅広く撫でると、くいっと指を曲げた内側だけは一際高くヌヴィレットの腰が揺れる事に気が付く。
「ここ、は?」
「ひぁ…! ……、さわ……な んっ! ……ふ、」
明らかに弱い場所を隠す余裕もないので、重点的に責め上げるとわかりやすくぶるぶると震えた。リオセスリの指から逃れようと軽く暴れるもんだから、これは早く終わらせた方がいいだろう。
十分に愛液によって満たされた蜜壺から困惑するヌヴィレットの指ごと、ただ引き抜くだけのつもりだった。しかし、それをまた腹の内側の良いところを押しつぶされると勘違いしたヌヴィレットは思わず身を捩ってしまった。
ぐいっと、結果的に一番弱い場所を押し込みながらも、ずるりと指を引き抜く。
「っ! あ、……ん! ……んっ、う…………、、っ! ん……!」
不規律な強弱による圧迫が波を打つようにヌヴィレットに襲い掛かった。先ほどより大きく腰全体が躍動したので、また絶頂をさせてしまったかと、リオセスリは思ったのだが、湧き出たのは蜜壺だけではなかった。
少しだけ可愛がった小さな穴である尿道。より一層の収縮を見せた後に、無色透明な水をぷしゃりっと放出したのだった。さすがのリオセスリもそれは想定しておらず、飛び出たヌヴィレットの液体は軽く宙を舞い、シーツやリオセスリの下履きを薄く濡らした。
「はっ、え………わたしは……」
未だ肩で息をしているヌヴィレットではあったが、少しずつ自分の身体の惨事を理解したらしく、顔を赤くした後にさぁーと青ざめた。元から白い肌だったが、そんな短時間に色の変わる姿を見られるとは思わなかった。ぷしゅっとした流れが止まると、肩をぶるぶると震わせてから、ベッドに残っていたクッションで顔を隠し内股になる。
「ヌヴィレットさん?」
「す、すまない。こんな……粗相を」
慌てて手を伸ばして、まだ腰に力が入らないだろうにヌヴィレットはベッドの上を少しずるずると移動して、自分の折りたたまれた衣服を引きずった。ポケットから綺麗なハンカチを取り出す。チラッとみただけだが、大層な刺繍の入った水色の一点物だと思われる。そのハンカチで、こちらを拭こうとしている。
「落ち着いてくれ、ヌヴィレットさん。気にしなくていい」
「だが、こんな辱めを君に……私は、なんてことを」
「だから、違うんだ。これは、あんたが思うようなもんじゃない」
リオセスリの下履きの太ももに飛んだ液体を、染みこむ前に軽く指ですくう。愛液より粘り気はなく、とてもさらさらしている。やはり触ると確かな確証が得られた。
「これは、潮だ。あんたには潮吹きの素質があったようだな。珍しいんで、俺もびっくりして反応が遅れちまった。すまない」
「潮?」
「そうだ。あんた、いつも水飲んでるだろ? だから、出やすいのかもしれない。とにかく、刺激をすれば出る可能性のあるものだから、変なことじゃないし。汚いものでもない」
「そう……か。君がそう言うなら、信じよう。しかし、君のベッドも服も濡らしてしまった」
それでも、不用意に濡らしてしまったとやはり気にしてぐずぐずになりながらも、ヌヴィレットはハンカチでリオセスリの下履きを拭く。正直ヌヴィレットの内股の方が未だ余程大洪水なのだが、節理の方を優先するのが彼らしい。
執拗に触ったつもりは無かったが敏感過ぎて、処女に潮吹きをさせてしまった。だからリオセスリも、ヌヴィレットのぐしょぐしょになった内股をどうにしかしたかった。しかし、こうやってヌヴィレットが丹念にハンカチで拭いているのを遮るのはちょっと出来なかった。ベッドの上で手の届く範囲で、拭ける物が見当たらないのに、ベッドからは降りられない。だから。
「ヌヴィレットさんは、もっと自分の身を大切にしてくれ」
「え?」
ふいにリオセスリは、再びベッドにヌヴィレットを転がす。既に足元のシーツは飛び散った液体で濡れている。それは仕方ない。だが……
目の前には反射で開いたヌヴィレットの内ももがあった。そこに飛んでいるのが、愛液なのか潮なのか基が綺麗すぎてもうわからない。だが、指ですくって拭うにはもはや許容範囲を超えていた。だから。
「……リオ、セスリ殿! ……なんで、舐め……て?」
「濡れてるから」
片足の膝を上げて、ヌヴィレットの内ももに顔を近づけて唇を伝わす。どれだけ初心なヌヴィレットが頑張って確かめて、それによって得た証でもある。今まで何度か可愛いとは思ったが、今回は心底にそう感じた。多少やり方は強引となってしまったが、ヌヴィレットの身体はそれに耐えて純潔に相応しい反応を見せてくれた。それはきっとこれからも大丈夫だろうという確信でもあった。
「リオセスリ殿! そこはダメだ」
「んっ、ぐ」
はっきりとした拒絶が頭の上から到来し、進もうとした先に至る前に、頭をむぎゅっと内股で固定された。目指したのは、絶頂後にひくついている媚肉である。秘裂は少しの落ち着きは取り戻した様子ものの、肉芽は陰りを見せたわけでもないし散々開いた肉びらが一番震えている。何より、同時に達したと思われる尿道も蜜壺に至る膣肉などは一番に濡れ残っていたのだから。
「っ…! 舐めないで、欲しい……私が拭く」
軽くリオセスリの頭を足でヘッドロックしてそのままベッドに落としたヌヴィレットは、恥ずかしがりながらもハンカチで秘所を手早く拭いた。確かに、意図があるリオセスリが干渉すれば、また何かが起こってしまうかもれしないから、正しい判断だ。布地に吸い込まれる水分も気にせずハンカチをさっと、動かした。
しばらく強制的にベッドに撃沈されられたリオセスリは、そんな光景を間近に見る事となった。ヌヴィレットはわざとそのような位置にリオセスリの頭を置いたわけではなかっただろうが、結果的に後処理の一部を一番近くで見守る事となってしまったのだ。思わぬ特等席である。
つづく。
この後もずっとベッドの上ですったもんだしてます…