attention!
嵐迅で、ご都合トリガーで小学生になった迅さんと致すことになる、頭の悪い感じの話。











「迅。新しいトリガー、問題にならないように本部にも一応申請しとけよ」
「オッケー ボス」
三年間、片時も手放さなかった師匠の形見である黒トリガーを先日迅は本部へと返還した。その行為に思うところがないというわけではなかったが、これが最善だと何より自身の未来視が語っているのだから後悔はない。迅が未来視なんて能力を授けられたのは、必要以上に過去に囚われないようにと言う部分もあるのかもしれない。明るい未来への第一歩は、まず自分自身がしっかりすることが肝心だ。だから、一番楽しかった時代、あの同年代の隊員たちとバチバチやってたあの頃の気持ちを取り戻そうと、新たな気持ちでランク戦へ望もうと思った。
やることはたくさんあるが、とりあえず目下。先ほど林藤支部長に言われたことをさくさくこなそうと思った。そのままの足取りで、迅は玉狛支部のトリガーを保管しているエリアへ赴く。
「えーと、どれだ?」
S級になってからあまりノーマルトリガーを触る機会がなかったせいか、管理されているロッカーの区別出来ない。特に最近は、玉狛支部に新しい隊員が入ったこともあって宇佐美あたりが気をつかって色々なトリガーを三人に見せたらしく、余計に置いてある場所が把握しにくい。
仕方なくとりあえず自分名義になっている、普段は使ってないトリガー一覧を見やることになる。玉狛支部は独自の仕様を使っている部分もあり、そのまま本部のランク戦へ持っていくわけにはいかないから、きちんと確認してから申請しておかないといけない。えっと最後に使っていたのはどれだったけな…といくつかある予備のトリガーをがさごそとあさっていると。
「っ、うわ。これなつかしー」
一番奥へと手を伸ばすと、久方ぶりに見やった物を発見した。それは多分、迅が初めて師匠から与えられたトリガーだった。今でこそ多彩化しているトリガーチップだが、思いっきり初期な当時はそんな器用なことできるわけがなく、起動してもそれこそブレード一本しか出現できなかったのだ。そのブレードこそが今の弧月のベースになったとはいえ、当時の切れ味はただの棒で切れ味も鈍器のようなものだったし。今では標準装備と言って過言ではないシールドさえろくにない。
当時を思い出して、少し顔がにやける。折角なので、そのホコリがかぶってなかったのが奇跡的なトリガーホルダーを迅は、手に取りトリガーオンといつものように起動したのだが………
「ん、…あれ?」





◇ ◇ ◇





「迅!不治の病にかかったというのは本当か!?」
「えっ、うわ。ごめんー 小南に冗談で言ったの、嵐山まで届いちゃったのか。あ、大丈夫。大丈夫。それウソだから」
ドタバタと少し騒がしいくらいに玉狛支部へとやってきたのは嵐山で、非常に切羽詰った表情を素直に見せながら駆け込んできたから、ちょっとやっちゃったなーとこれはホントに反省しながら、迅は答えた。
迅と嵐山は前々から恋人同士である。そんな話が耳に届けば、心配性な彼が飛んでくることを失念していたのだ。

「………ここは、迅の部屋だよな?」
別に部屋に表札なんてかけていないのだが、それを確認するかのように嵐山はきょとんとしながら、ベッドに腰掛けている迅に話しかけてきた。
「そうだよ」
「まさか…迅なのか!?」
「だから、そうだって。ちょっと今は、トリガーの誤作動で縮んでるけど」
なんともまあわかりやすい反応をして、嵐山は驚いてくれたのだった。
つまり、こうだ。昔のトリガーを起動した迅は、当時の生体スキャンされたそのままの姿でトリオン体が形成された。それが昔の標準的な仕様だったから忘れていたけど。てか、あまりに前過ぎて一体いつのデータだかさっぱりだ。当時のトリガーは改良を何度も重ねていたから、バージョンにきちんとナンバーがついてた筈だが、そこを覚えているほど迅の記憶がよいわけではない。だから、多分ホント最初の今でいう旧ボーダーに入りたての姿になったのだ。たしか小学生高学年くらいだとは思うけど。
まあそれはそれでと懐かしんで本当は終わりな筈だったが、次のトリガーへと手を伸ばした迅にはなぜかトリガーオフが出来なかったのだ。仕方なく、これを作った当時のエンジニアへ電話で聞いたら…今のボーダーのトリガーとはあまりにも仕様が違いすぎて、現在の仕様にバージョンアップしないと簡単にはトリガーオフ出来ないらしい。今、それはうちの優秀なエンジニアがやってくれている。だから、明日には元の姿に戻るって未来視では知っているけど、まあ折角だから玉狛支部にいる面々相手にこの姿で遊んだりもしたのだ。
三雲や雨取はそれこそ今の嵐山ばりに驚いてくれたし、遊真とは背比べをしたり、これぞとばかり雷神丸にまたがってみたりと…そんなこんなで小南相手に小学生になったのは不治の病にかかったからでというウソはもはや玉狛での日常風景の一つかと思ってたので、しくじってしまった。
とりあえず、さっぱり疑問を解消できていない目の前の嵐山に、その事情を一通り説明する。

「そうだったのか。とりあえず、迅が無事でよかった」
「嵐山。もしかして無理してここに来た?時間とか平気?」
「ちょうど大学の帰り道で桐絵から連絡もらったから、別に無理なんてしてないぞ」
「そっか、なら良かった。悪いんだけど、後ろのダンボールの山からぼんち揚取ってくれない?どうもこの身体だと背が届かなくて」
いつものことだがベッドの奥にはぼんち揚が詰まったダンボールの山が鎮座していて、ちょうどタイミングが悪く先日、箱買いしたのがうず高くあった。普段なら一番上のダンボールだって、背伸びさえすればひょいひょい取れると位置なのだが、今の身長では脚立か何かを持ってこないと無理だった。その脚立だって、物置から運ぶのはこの身体では骨が折れそうだから。
「…これでいいか?」
「うん。ありがと」
難なく空いたダンボールの一つから嵐山は袋菓子を一つ取ってくれたので、受け取る。
その袋を開くだけでも、力加減がイマイチ掴めずいつもよりちょっと力むことになるが、さすがにそれは難なく。迅はいつものように、ぼんち揚を食べれるようになる。ようやくだ。やはりこれがないとどうにも落ち着かないという、昔からの馴染み。
「やっぱり美味しいー 何か身体が小さくなった分、お得感があるし。案外この身体も悪くないかも。っあ、嵐山もぼんち揚食べる?」
「貰うよ、ありがとう。それにしても、迅はわりと子どもの頃は小さかったんだな」
二人して、ぼりぼりと頬張る間に会話も挟みこまれる。わりといつもの風景なのでのほほんと和む。
しかし嵐山に横に座られると、さすがにけっこうこちらの目線が上へと移動を成される。それはなかなかに新鮮だ。普段は同じ身長だからあまり気にしなかったが、嵐山も迅もそこそこ身長がある部類に値するんだなぁと実感する。
「んーそうかも。中学生くらいかな?成長期が来て、割と急に身長伸びたのは」
「俺が迅に初めて会った時、同じくらいの身長だったような記憶があるな」
「そーそー。嵐山を追い抜く!と思いたかったんだけど、やっぱり今でも同じ身長なんだよな。っと、はい。もっと食べて食べて」
割と二人ともハイペースで食べていたせいか迅が袋を出したり引っ込めたりするのがちょっと億劫になったので、ベッドの真ん中で袋を開けて広げる。こうすれば嵐山も食べやすいだろう。
「手とかも随分と小さく感じるな。少し前の副や佐補よりも大分控えめな気がする」
「そう?」
試しに、一旦はぼんち揚に伸びてきた嵐山の左手に迅は自分の右手をペタリと重ねた。
うーん、確かに。一回り…いや下手するとニ回りくらい今の自分の手の方が小さい。これはちょっと驚きだ。多分、今の嵐山の手は普段の迅とそこまで大きく違くはない筈だからオドロキ。
「迅、熱でもあるのか?随分と手が温かい気がするんだが…」
「いや。それは多分、昔のトリガーだから設定が今ほど再現率高いわけじゃないというか。もしかしたら、子どもの頃だから体温高かったのかな?わかんない」
あの頃はトリガー開発も最初期に近かったから、痛覚以外にも色々な五感に通じる感覚を切ったりとかちょっと怪しい実験紛いを色々していたけど、さすがにこのトリガーは何の設定も施していなかった記憶があるようなないような。昔の自分の感覚なんて、正直それが当たり前すぎて今更変に思う事なんてあるわけがないし。
そもそもトリオン体だから乗り物酔いとかそういうものでなければ、病気になるわけがない。だが一応心配した嵐山は少し迅の前髪を掻き分けていつもより狭くなったおでこをペタリと触って、熱の有無を確認し始めた。
「大丈夫、みたいだな」
「平気平気。さすがに身体の伸び縮みには違和感あるけど、体調とかはいつも通りだって。
………そうだな。気になるなら、もっと確かめて見る?」
じわりと思い立った事を実行するかのように、迅はそのままちょっとベッドの上に乗っかった。体重の軽い身体とはいえ、わずかにバウンドするベッドのスプリングに、ぼんち揚の袋は端へと少し追いやられる。
そのまま、いつものように腰掛けたままの嵐山の顔へと迫ったのだが。

「待て、迅」
「なに、したくないの?せっかく、久しぶりなのに…」
何かを察した嵐山が、近づく迅の顔を寸前で押し留めた。二人の間を遮る手のひらが割り込む。さすがに少し不機嫌顔で迅は尋ねた。
二人が恋人同士になってから、今まであまり嵐山に拒否をされたことがなかったので余計に積もってしまう。今回、嵐山といちゃいちゃ出来ること。別に迅が進んで仕組んだことではなかったが、そんなこんながない限り二人は非常に忙しすぎて。いくら職場が一緒とはいえ、嵐山は本部で迅が支部所属ではきちんと約束でもしないかぎり偶然に出会うような立地ではない。だから久方ぶりの逢瀬を楽しもうと思ったのに。
「だって迅は、今小学生だろ?そんな相手に無体を働くわけには…」
「中身はいつものおれだって。それに今なら、合法的に小学生にえっちなコト出来るよ?」
わざとあどけなく言ってみる。少しは興奮しない?と煽るのだ。少年の危うさが残っているのだから、ふんだんに活用しようと。きっと可愛く小悪魔的な表情も出来た筈だ。
確かに見た目はちょっとアレだが、倫理的には問題ないと思うし。もう酸いも甘いも?み分けた仲なのだから。
「迅!俺はそういう趣味はないぞ」
「わかってるって。でもさ…明日からまた忙しいし、今逃したらまたこんな機会随分と先になるし」
臆する嵐山の指をわざとらしくちょっと絡めて、ゆるゆると触れながらにぎにぎする。
ご無沙汰なこともあって今は、大分大きくなってしまった嵐山の手がやっぱり切に恋しいのだ。胸の高鳴りは、別にこの姿になってからだって変わりはしない。
両想いではあるけど、いつでも迅は嵐山に恋をしているのだから。
「………わかった。少し触るだけだぞ?それと、何か身体に異常を感じたら直ぐに言うこと」
「はーい」
小学生らしく、迅はこのときばかりは元気に返事をした。




迅は、実は嵐山が自分とセックスしてくれることは奇跡に近いと思っている。迅が知り行く未来の中で自分と彼が付き合っている可能性がそんなに高いわけでもなく、それでも身体をつなげてくれるということが、何よりも嬉しかった。それに何かと男同士というハードルが高く、嵐山は聖人君子というわけではないか、清廉潔白に近いからそこまで持って行くのも根気がいった。
する場所も問題だ。例えば、嵐山の部屋なんて相当駄目だ。常に誰かしらの家族が存在する。嵐山の性格的に、外でなんてもちろんするわけがないし、そうなるとあと残る選択肢は本部くらいだ。それも仕事場みたいなものだから嫌がられるけど。個人的に与えられている空間なんて少ないもので、仮眠室さえ安全性はない。嵐山隊の作戦室は他の面々が来る可能性もあるから危惧考慮されて。となると結局となる玉狛のこの部屋は、人の出入りが激しく落ち着かない時だってある。今日みたいにうまく活用できればいいが、フレンドリーすぎてプライベートの完全な確保は無理である。それに、嵐山との関係は小南以外のメンツにはバレているかもしれないが、わざわざ面と向かっては言われたことないし。だから必然的に、こうやってもっぱら迅の自室で致すことが多くなる。

―――久しぶりのキスだけでも、酩酊は普段以上で口をどれだけ開いても入ってくる嵐山の舌は熱くてとろけるように満たされていて仕方ない。どんなに虚勢を張っても、いつも途中で引き込まれてしまうのだ。やっぱり普段の感覚というわけにはいかないなと、でもそんな事を言ったら嵐山は止めてしまうだろうから、そのまま打ち震えるようにこの感覚を迅は感受した。
「は…ふ、」
ベッドの上で対面しながら、絶え間ない息を熱いままに吐き出す。たったこれだけでも、心臓のばくばくが激しくて思わず胸を押さえるくらいだ。
「熱い… もう、脱ぐね」
「え、あ。そうだよな」
少し上半身を起こした迅はチャックを開けていた上着の袖を外して落とし、ついで着ていたシャツをたくし上げて横に放った。
瞬く間に頼りない感じの素肌が晒される。肩幅もたいしたことない。あーこの頃、まだ訓練し始めてでろくに筋肉とかついてないからと、ぺたりと薄い腹筋に触れると予想以上の子どもじみた身体がどうにも。
しかし、いつもだったらよっぽど切羽詰らない限り、乱雑に衣類を脱ぎ捨てれば嵐山に軽く注意されてしまうのだが、今回はそうではなく。というか、反応が鈍い。優しく服を脱がされる時など、それこそ時間が許すならばきちんと折りたたみそうで笑うのだが、毎回そんな余裕ないけども。
「さっきから考え事してるっぽいけど、何か思うことでもあるの?」
どうも小学生に手を出してはいけないとか、そういう真面目なこと以外にも何か別の感情も察知してしかめる。今は迅だけを見ていて欲しいのに、ちょっと何か違う含みを嵐山から感じ取るのだ。
「…迅のこの姿って、俺たちが出会う前だろ?」
「そりゃそうだけど、それが何?」
嵐山が今のボーダーに入隊したときでさえ、中学三年生の時だったから随分と印象が違うのだろう。確かにこれは嵐山が知らない、少し幼い迅の身体だ。
「迅は…昔からこんなか細い身体で戦っていたんだなって思って。大変だっただろ」
「そんなこと考えてくれてたんだ…」
そっとこちらの肩に軽く触れてくる。まるで迅を労わるように。きっと嵐山は、当人である迅以上に昔の迅をも考えてくれている。
当時は夢中だったしそれが当たり前で、同じ子どもでも年上には頼りがいのある木崎、年下にはおてんば盛りな小南がいたから、そんなに変なことだとは思っていなかった。
ネイバーとの対峙は毎回必死だったし、辛いことがないわけでもなかったけど楽しくもあった。どこまでも。そりゃ和気藹々の方向性は、今とは随分と違うけれども。
「嵐山、そのまま抱きしめてくれる?」
「あ、ああ」
「もっと強く…」
体格差が随分と違うから、包み込まれるように被われる。壊れ物を扱われるような抱擁は、まだ苦しいには程遠いけど。
それでもその温かさが全身に伝わるようで、こちらも手を回してぎゅっと掴む。ぴったりと重なると、この距離が何よりも心地よい。
「案外頑丈な身体してるっていうのは、嵐山が一番よく知ってるだろ?大丈夫。おれはこうやって立派に成長したし、これからもしっかり戦える。ま、隣に嵐山がいることが前提だけどね」
「そうだな。ずっと一緒にいるよ。約束する…」
少し身体を放して、真摯な瞳で貫かれるように断言された。

「で。結局してくれないの?」
折角ここまで来ても、その鈍さは変わらず、どうしようかとあぐねる。
迅も少し、見極めなくてはいけない。嵐山が大丈夫だと気兼ねなくしてくれるラインを、そんなものはとっくに認識しているつもりだったけど。これは迅のわがままの一つでもあって…どう動くか未来は知っているような、知らないような。でもそれでもよかった。恋愛というのはふわふわしているから、最初は苦手だったけどそれが嵐山相手なら別にイヤではないのだ。
たまには、愛されすぎていることが不安にもなる強欲。でも、迅からはとても嫌いになれないのだ。好きだ。好き過ぎる。結局は全てを受け入れてくれる嵐山が。きっともう頑張ってもこちらを嫌いになってなんてくれない。迅が何をしようとも。それさえもどこか不安で寂しくて、こんなに与えられてもまだまだもっとを求めててしまう自分が卑しくて、それを確認するためのように…ただあった。
「いや、そういうわけじゃないんだが。なんというか…」
「やっぱり小学生のおれ相手じゃ、勃たない?」
どこか気まずそうな空気が流れたので、こてりと首を傾げて尋ねる。しぶる嵐山の真面目顔をちょっと崩したくもなる。本当に嫌なわけじゃないんだろうけど。
迅自身さえもはっきり実感するほど、これはまだまだ貧相な身体だと思うし。少なくとも現状の十九歳よりは、色気とか余裕はさっぱりないだろうとそれはわかってる。
「そういうことを言わないでくれ。迅は、俺がそんな趣味な方が嬉しいのか?」
「まあ確かに、アブノーマルなのは困るけど…嵐山は固すぎるんだよ。そんな深く考えないで、いつも通りでいいんだから」
ぎゅっと嵐山の空いた手を両手で握る。ちょっと今の手の大きさじゃ片手じゃ余るからと思ってそうしたわけだが、そんな些細なことでも意識するのかと。ぐいっと引っ張ったその温かい手を、こちらの裸体まで引き寄せた。そこ、触って欲しいから。
可能性の薄い未来を自ら引き寄せるの、嵐山相手だと人一倍頑張ってしまう気がする…

迅に促されておずおずといった様子ではあったが、若い肌の上を嵐山の右手がそろそろと動く。それこそ子供の体温を確かめて見るかのようでもあったからこそ、本当にイケナイコトをしているみたいに思えた。肌の上をすべる仕草には、未だどこか少し戸惑いがあるようで。普段よりぎこちない手つきの嵐山がじれったくも感じて、くすぐられているような気持ちもあった。それこそ徐々に下からせり上がっていくような感覚から、やわやわと刺激を与えられる。いつもよりゆっくりとした動作は、まるで焦らされる感があって、全ての快感をうまく拾い上げられないむずがゆさが迅をおそう。若い身体には、これは耐え難くも感じる。まさかの生殺しだ。
普段から嵐山は真面目だから性急なセックスなんてしたことなかったとはいえ、これでは先に迅の方が根をあげてしまいそうだ。手加減をされているのは明らかにわかった。それが、アンバランスな均衡に立たされているかのようで、こちらの言う事を聞いてくれない。自分のカラダのはずなのに、快楽に慣れていなさすぎてわからない。
「迅、ちゃんと気持ちいいか?」
イマイチ反応がつかめていないのか。若干眉間にシワを寄せてしまいそうに、こちらの様子を伺われる。
胸、そこ。まだ何もないみたいだろうけど、むずがゆさがどうにも。
「っ、いいけど、いいんだけど。早く…こっちも触って?」
なんかダメだ。あのままじゃ、不完全燃焼ばかりで。
やや焦りながら迅はわかりやすいものを求めて自分のベルトに手を回すが、焦りから逆に慣れなくもたついて指がきちんと動いてくれない。見かねた嵐山が手を差し伸べてくれて、既に反応して少しきつくなったボトムをくつろげ開いてくれた。
熱さからの少しの解放が成されてほっと安堵したのだが、ふと迅は自分の下肢を見て思わず、ぎょっとした。
「ふえっ、ちょ。嵐山、待って。ストップ!」
華奢な腰周りへと伸びてきた手に、思わず静止の声を間髪入れる。
ぶわりと急激にやってきたのは羞恥心。まさか、まあ当たり前なのだがあんまり考えなかったのだ。この姿になってからトイレとかさえ行ってなかったし。
「どうした?」
「……ちょっと、ソレ触られるの恥ずかしいというか」
平常時だってこんなに赤面したことなかったと思うくらい、耳が馬鹿みたいに熱い。語尾が段々と弱い声になっていたのだって自覚はある。情けない。
迅が横目をややそらしながらも、でも何となく嵐山も察したようで。
「別に歳相応じゃないか?」
「いや、感想言わないで。ホント、マジで」
嵐山が特別何か言ったというわけではなかったが、どうにも居たたまれなくなって迅は完全に顔を反らした。
ああ、そうなのだ。嵐山が言ったそれは、迅の性器でもう…悲しくなるくらい控えめだった。いくら受け手に回ろうが、別に迅の男としての矜持が崩壊したわけでもないし。なにより、この身体は嵐山と出会う前だから余計に。
もちろん精通は当に迎えているし、これから成長期って段階なので仕方ない。それなのに身体を愛撫された影響でしっかり反応しているのだから、それは恨めしいくらいに。まだ大したことされていないのに、いつも以上に素直に反応していて戸惑う。今まで嵐山とは何度も身体を繋げていて、あられもない痴態は何度も見せているから下手な羞恥心は吹っ飛んでいるとはいえ、それとこれとは今の状況は話が違うのだ。
「えーと、じゃあやめるか?」
「う゛…やだ、したい」
元々嵐山はあまり気乗りしていなかったようだったし、そういう結論になるのも当然というか。
でも迅の身体はもう中途半端に煽られまくってどうしようもなくて。これから先のたくさん気持ちイイコトを知っているからこそ、ぐるぐるして。理性なんて備わっていない子どもの身体の方が、余程正直だ。半端に晒されて上向いている性器を見せ付けている方が余程、羞恥心で死んでしまいそうだし辛い。自分で処理したほうが呆気ないってことはわかっているけど、きっとむなしさ半端ない。
「そうだな。でも確かに今の迅だと、普段より体力ないだろうし。簡単に何度もイくのはよくないかもな。じゃあ、こっちか」
嵐山が軽く掛け声をかけるように手を動かすと、ひょいっと簡単に迅の身体が深くベッドに沈みこみ、足を軽く上げさせられた。
小ぶりな尻が嵐山の目の前に差し出される。いつもやられているけど…今回はあまりにも容易に体勢が切り替わったので最初は何が何だかよくわからなくて。そんなこんなしている間に、ベッドサイドから馴染みのローションが取り出された。角度的によく見えなくなってしまったけど…次にやってきた尻の間を伝う独特な滑りに、ぶるりと打ち震える。それは何度も知ってる。
手馴れた手つきでやわやわと撫でられた後に、ぐいっと薄い尻肉を割り開かれる。その流れで、たぷんと豊満とは言えない尻たぶを軽く揉まれるが、普段より些細すぎるのは良いことなのか悪いことなのか。
「ああ…こっちも可愛いな」
「えと、それって誉めてるの?」
「もちろんだ」
もはやそこまでされたら開き直ろうと、身を委ねるかのように力を預ける。
呆気なく隠された場所がさらけ出されて、直ぐに目的地。普段以上に頼りない入り口となってしまっているのが、ちょんっと確かめるように嵐山の人差し指で触られると痛感する。微かに撫でられただけでお腹の中まで瞬時に連動して、これから先を期待してしまうということはどういうことだろうか。
嵐山は準備と称して入り口付近を行ったり来たりとして、ローションを塗り広げてくれているものの、そのくぼみを掠られるだけでもあわわと声が漏れそうで緩い口を微かに手で覆う。
もちろんこの身体は昔のだから、そんな場所を誰かに触れさせるなんて初めてだ。未貫通だ。一度も繋がったことがない無垢な身体を作り変えられる感覚。この心と身体の裏腹感が、どうにもじりじりと何かに追い詰められているようでドキドキする。
何だか最初に嵐山と繋がった日をちょっと思い出して、身震いもした。最初にした時は大変だった。あの時は本当に死ぬほど難航した。未来視なんて能力持っている迅でもそれだったのだから、嵐山は相当根気よく付き合ってくれたってわかる。それでもずっと嵐山が解してくれていたものの、どうにも羞恥が耐え切れなくなって求めて入れてもらって、切羽詰ったアレをだ。
「指、入れて大丈夫か?」
「うん…」
普段なら、もう何度も身体を繋げているから今更それくらいの確認はなく、迅の呼吸が良い按排になった時に自然にという流れではあったが、さすがに心の準備をうたわれる。未知の領域に踏み込むソレをだ。
まあ、さすがに指一本くらいは余裕だろうと思ってはいたんだけど。
「あっ、あ…、」
中指。中指だけが堅く閉ざされた場所にゆっくり侵入してきただけで、耐え難い声が漏れ出た。
指一本だけでも十分大きい。どうしよう。確かにこの身体は初めてなわけだが、嵐山はそうじゃないからこそ以前の最初に身体をつなげたときのような不自然な進攻はありえないのだ。
迅の身体を気遣いながらも、その構造を理解しているナカのイイところだけ拾い上げてばかりで。それなのに初めて触られる弱いところは、必要以上にまるで痙攣するようにビクリと反応をして、ぶるぶると震える。そうだ。迅の身体とは逆に嵐山はあの時よりは幾ばくか成長していて、だから。
「やっぱり、キツ…いな」
嵐山も何かの手ごたえを感じているらしく、沈んで逃げていく迅の腰を支えながらもつぶやく。
「だめ、嵐山の指… 気持ち、イイ」
その動きは、優しくて、温かくて、比較なんか出来ないけど。
既にわかっている道筋を辿るように、的確に嵐山の指はナカを広げようとじわりと躍動しはじめる。狭いナカではもはやどこを触られても、ただ気持ちよくて彼の指を不規律に締め付けて収縮するばかりだけど。もうここで嵐山に隠せるところなんて何一つないのだと、再び覚え込まされる。
あまりの奥狭さに進攻に少しの限界を感じたのか一度ゆっくりと指を抜いた嵐山は、追加のローションをまとわりつかせてまた入る――― 今度は少しの冷たさも追加されて、でも性急に欲しかったから仕方ない。奥の奥に塗り込まれるようにぐっ、ぐっと隠し続けている場所を無理やり暴かれるかのようにと、ほぐされる。でもイヤなわけがなく、もっともっとと腰が動く。成人に近い心と未熟な体では相容れなくて追いつかないのに、何か別のものが追い立てる。
「すぐに、ナカ熱くとろとろになるな。初めてのカラダなのに…」
「…そ、れは。だって…知っ、てる から」
「キツいのもわざとで、締め付けてる?」
「そ…、な………わけな…」
大分隙間も出来てきたと迅自身さえ余裕を微かに感じた瞬間、間髪入れずに二本目が同時やってきた。ひっと、喉が勝手に軽く鳴る。一気に二倍の容量を咥え込むこととなり、圧迫感に絶え間なく息が詰まりを見せる。
その度に、嵐山は軽く手を止めてナカに入れていない方の左手で軽く迅のおでこや髪を、あやすように撫でてくれる。緊張とされた身体が揺らめくように僅かに解れて、息も絶え間なく吐いていく。
二本の圧迫は想像以上で。普段は少し慣らせば容易に指の根本まで入っていくが、今回はそうじゃなかった。心は拒絶していないのに、未成熟な身体がギチギチと侵入を拒むから半端な抜き差しとなっていて、本当に迅が求めている場所へは簡単に、その到達を許さない。初めてなのと、うまく拾えない快感が色々と織り交ざって、頭がどこかついていかない。与えてくれるモノ全てを掬い取れない。
どうして…もっと気持ちよくなりたいのに。嵐山はきちんとそれをしてくれているのに。迅の心もそれを求めているのに、遅れて身体だけがどこまでも………
悪い酩酊が頭をかけ巡り、思わず手を伸ばそうとするがそれさえも短いから届かない不安定さも兼ね揃えてしまい。

「迅!どうしたんだ!?」
うだる頭からふいに現実に引き戻されたのは、もちろん嵐山の声で。どこか半分ほどのぼせたようにぽうっとしていたら、いつの間にかその大好きな顔が間近にあった。
「えっ、あ… おれ、もしかして泣いてる?」
ようやく自分の身体に巻き起こったことを理解したのは、嵐山が優しく目端からこぼれる涙を拭ってくれたからで。苦しいくらいにぽろぽろと涙が溢れていた。
なんでだろう。泣くつもりなんて一ミリもなかったのに。
確かに今までセックスの最中、良すぎて感極まって涙があふれることなかったわけじゃない。でも今回のは明らかにそういうものではないということぐらい、嵐山にはわかったのだろう。申し訳なさそうに半分慌てている。もちろん手早くもう指も丁寧に引き抜かれていて、迅が楽にベッドで揺らげられる体勢になっていた。
「すまない。無理をさせてしまって…」
「ううん、そんなことない。なんか勝手に涙が出ただけなんだ」
「今日はもうやめよう。また後で迅とゆっくり出来る時間は作るから」
下手な無理はさせないというのは嵐山にとっては暗黙のルールのようなもので。それこそ迅の体調が悪かったり寝不足だったりすると、どんなにせがんでもただベッドで一緒に寝るだけになる。それが悪いというわけではなかったけど、わりと他にもあって。次の日が非番じゃないと駄目とか。学校や任務があったら、高校の時なんかはテスト期間中とかでもNGだったくらいなのだ。
確かにおかげさまで少し火照った熱は和らいだように冷静になった。迅はそれでいいのかもしれない。だけど。
「嵐山は、大丈夫なの?」
「えっ、いや…」
明確な返事を貰う前に、迅は無遠慮に衣類が一切乱れていない嵐山のベルトに手を伸ばす。だって迅の痴態を見た後で、反応していない方がおかしく、もちろんボトムを圧迫するものが目に見えたから。
戸惑う嵐山にちょっと迫って、いつものようにそのベルトを外す。さっきは迅のを取ってもらったからお返しのつもりだけだったけど。さすがにこの噛み合わせを取るのはゆっくりとなり、嵐山の腰が引けたのはわかった。それでも一方的な関係は嫌で、やや強引にも言えるほどボトムをずり落とす。
「うわっ、ちょっと凶悪になってる」
「…そりゃ、迅相手に余裕なんてないさ」
「うーん。口でしようかと思ったんだけど、厳しい…かな」
下界に出た嵐山の荒々しく育った性器を見て、少しの瞠目。
それこそいつものような口淫でと考えたが、今の迅の体格では賄いきれないような気がした。口に含むのも少しが限界で、舐めるだけっていうのも中途半端感が激しいし。とりあえず、そっと手を伸ばそうとしたのだが、その前にパシリと軽く繋ぎとめられた。そのまま、またベッドに背を収まらせられる。
「なに、触っちゃダメ?」
「迅に…負担をかけたくないんだ。けど、今日はちょっとこっちを貸してくれないか?」
上半身はベッドに沈んだまま、組み敷かれる。先ほどのように少し両足を折られて、嵐山の身体はその間に割り入ってくる。いつものように折り曲げられる脚はそのままではあった、が。
次の瞬間には、迅の太ももの内側に嵐山の勃起した性器が当てられる。そうして両足の間にそれだけを差し込まれ残したまま、内股になることを強要された。
思わずうわっと叫んでしまいそうな光景。それほど肉付きがいいというわけではない迅の両太ももの間に、もう成人に近い大人の危険な性器が出たり入ったりする卑猥さ。なにこれ。内股を伝うこすれる感覚もヤバいし、視覚的にも距離が近すぎた。いつもは思う存分、迅の過敏なナカをえぐっているそれがどうやって必死に動いているのか、見せ付けられるかのようで、心の方がとても追いつかない。
別にこれをされるの、嫌なわけじゃない。迅だって、求めて欲しいっていうか。嵐山にも気持ちよくなってもらいたいし。だけど…
「迅、脚が緩くなってる。これ以上は内股、出来ない?」
「だって…こんな」
女の子みたいに内股を強要されて脚がガクガクとし始めて、こらえるために足の指何本かでぐっとシーツを掴むが間を動くその衝撃があまりにも許容を越えていて、安定しない。最初は軽く嵐山が片手で支えていてくれたものの、もはや腰も力が全然堪らない。
仕方なくまた嵐山の手によって軽く脚を支えられると、少し体勢が切り替わる。持ち上げるとは言わないが、下半身が軽く浮くように…逆に上半身が深くベッドに沈む。
何度も手前から向こうへと力が加えられると、そのえげつない性器がやや乱雑に視界に見え隠れする。差し込まれる度に深く襲われていくような感覚が、絶え間なくも断続的にやってきて。
「っ、あ!…それ。………ひぃ、当たっ…てる。嵐山の、あついのが…おれのに」
「ごめん。痛い?」
「ちがっ、…そうじゃなくて!」
角度が変わったせいか、必然的にこちらの薄い腹へ飛び込んできていた嵐山の性器が、ぶらりと忘れられていた迅の性器にもふいに触れることとなっててしまった。こちらの性器が一端止まって、全て反り返るほどの反応は見せていなかったゆえか、無情にもぶつかる。何度も擦れる接触は、大きさが大分違うせいか、重力にも押し潰されるくらい強く。またそれが、迅のお腹の奥でくすぶり眠っていたものが開花するように襲われて、脳内をも侵食していくようで。
いつの間にか、こちらの尻の間を嵐山の先走りがとろとろと落ちていくのが感覚的にわかる。いつもはたっぷり飲み込んでいるその精液の端くれを受けて、後ろの入り口が待っていたと言わんばかりに勝手に、きゅっと搾り取るように詰まって。だらしなく中へと受け入れようと開く。
ダメだ。やっぱりこんなことをされては、満足なんてとっくに出来ない。いつもはもっと直接的で迅を満たす場所が、いつまでたっても乾いたままみたいで。
「あ…あらしやまっ、…それ、もっと、」
「迅は小学生でもえっちなんだな……」
「っ!うん…うん。だ、から…うしろ、も………欲しい」
「それは…でも、迅を傷つける事になるから」
「は、……は、…だいじょぶ、だか…ら。どにかシて………おね、がい」
じんわりとした熱に浮かされた言葉を孕ませながら、今嵐山を受け入れている内股をぎゅっとクロスするように束縛して、強請る。どくんっと嵐山のも誇張が増して、臨戦態勢がどんどんと飛躍していく。
嵐山は優しい。迅に優しすぎる。ちょっと過剰なぐらいに。彼だって本当は、こんな場所じゃなくてもっとどうしようもなく狭くて熱いあそこがいいに決まってる。それが不可能だって迅の狭い身体が一番わかりつつも、その欲求を止められない。
じくりとうずくナカが何かを待っていて、ずしりと重くなる。頭では知っているそれをだ。身体より脳内にこびりついているその淫乱な記憶の方が、何よりも勝るから。
「………迅、今日は。これで、我慢してくれ」
一言かけられてから、嵐山はこちらの体勢変えるように、軽く持たれた脚ごと迅の身体を少し横へと流してきた。シーツへと沈んだまま半分受け身を取るような、背中全てを預けてはいないその半端な角度は不安定でもあった。だからこそ、迅の尻の間に僅かに隙間が出来、そこに嵐山の右手がざっくりと割り込まれた。そして。
「っん、!…ゃあ、んっ、!はっ、」
間髪入れずにもたらされたのは嵐山の指で、二本一気にぐいっと差し込まれた。少しの勢いと共に、ずいっと緩急激しく付けられて入れられると、ぐぷぷと飲み込んでいく。
少し前までそれでナカを弄られていた筈で、それでもそう簡単には慣れないのはこの身体がまだ性欲に溺れきっていないからだけど、それを咎めるように長い指で奥を暴かれるのだ。小学生な身体に対しての現実的な結果を選んだだけとはいえ、性器の出入りを彷彿とさせる疑似的な動きはあまりにも再現率が高過ぎて、自由が利くからこその些細な動きも普段ではない悪戯にも思えてこそばゆく追い詰められている。
確かにこれがここに入れる今の迅に取っての精一杯だろう。だけど、それ以上に。
「やっぱり迅は昔から、ここがイイのか?」
嵐山の言葉に促されるように、わかりやすく腰がびくりと揺れ動く。
「…ひゃ!………んん あ、あ、ァ………そ…なの、…しらな…ィ」
「そんだな…俺だけが知ってればいいことだった」
「ふぇ、へ?…いっ、しょ……!…?」
そうなのだ。意識が油断している間に…未だに迅の内股には、みるみる誇張する嵐山の性器が出入りしていて、それに加えて後ろには指を突っ込まれ、しかも同じタイミングで抜き差しされる。後ろも同時に攻められるという抜き差しの連動間隔はどんどんと短くなっている。その器用さは恨めしいくらいで。
前からも後ろからも絶え間なく攻められる感覚は、どこにも逃げどころがないと暗示しているようで。そのもたらされる快感全てを流す場所がみつからず、迅の体内に溜め込まれるばかりでどうしようもない。腰さえ自由に動かせないから、上半身をよじってずりずりと動いてしまう。
「迅、もう少し頑張ってくれ…」
「…あ、!ア…う、…うんっ、」
嵐山は、そんな迅を掴んで内股に性器を深くはめ込むと、こちらの性器の裏筋も同時に摩擦が成されて、じくじくと過剰な刺激が成される。そのゴリゴリとした感覚に促されて、迅の性器は薄い精を吐き出しながらだらしなくまとわりついた。目に見えるもの全てさえ、あまりにも揺さぶられて。
力の抜き加減もどちらに気をやればいいのかわからないまま、それでも容赦なくやってくるナカにある二本の指は各々動いて的確につつかれる。ずちゃりと中指の根元さえ飲み込んでしまうほどに深く挿入されると、いつもだったら届かないような…それこそ嵐山の性器で攻め立てられる奥にも到達されてしまう。はくはくと収縮するその場所を重点的に扱われる。限界への加算。そこが最初から迅が求めている場所だったから、泣きそうになって…そうだ。嵐山の長い指が、弱い最奥を刺激することを。
骨ばった指の関節の動きが生々しく、初めてでは到底到達できないような場所も余すことなく攫われて、きゅんきゅんと反応すると、響いた嵐山の指がギチギチにうなる。そしたら僅かな隙間も逃さないくらい、ナカでも指先を広げられて。
曝け出す。全てを暴かれる。オトコを知らない筈の、うぶな身体がみるみるうちに成長を遂げて、最後は無防備に明け渡すのだ。
その一番弱い最奥を長い爪の先で過敏に押し潰されて、同時に内股を躍動する嵐山の性器に自身の性器を押し潰されるように圧迫されると、もう限界で。
あ、ナカの弱いトコ押された。押され続けてる………長いっ

「っ!あ、ん!!ァァ、あ…あーっ!!!」
とうとう迅は音を立てて熱く弾けるように、飛び散る精液を鈴口から吐き出した。腹から胸へと勢いよく腹を打ちながら、散漫が成される。シーツを掴んだ、爪の先さえも白くなるくらいに。
後ろも勝手にキツく収縮して、これ以上ないというくらい嵐山が入れた指を酷く締め付けた。彼の性器もぐっぐっとこちらの腹をこすり付けるくらい強く、その頭に刺激を与えてきた。そして細く唸ると、迅以上の精液を周囲にまき散らかしたのだった。





「迅、もうこんな無茶を言うなよ?」
身体を身奇麗にして身支度を少し戻して、一先ず汚れたベッドのシーツを端へ追いやった後、それでもこの久方の時間を満喫するようにごろごろと嵐山に擦り寄っていると、少しの言葉が頭の上からやってきてぽんぽんと頭を撫でられた。その感触さえ少し心地よくて、空いた方の手を掴んだ迅はそれを顔の近くまで持ってきて頬ずりをする。
「大丈夫だって。明日には普通に元に戻るし。嵐山だって、昔のおれがじっくり見れて貴重だったでしょ?」
「まあそれは否定しない」
「なんだろうな。おれは未来が視えるから、逆に過去は少しおいてけぼりにしがちというか。省みないとこもあると思うから、昔のおれを嵐山にも知ってもらいたかった部分もあるかも」
「そう…か。そうだな。迅との最初――― 四年前、初めて迅に会った時のこと俺が忘れることはないだろうけど」
「おれだって、あの時の嵐山は強く覚えてるよ。今は。
でも、なんていうか、おれの記憶容量は人並みだから、未来の情報が溜まりすぎると心配になることもあるんだ。だから…」
「ん?どうした」
「そうだ!嵐山の方が几帳面だからさ。入隊したときに最初に作ったトリガー、取っておいてあるんじゃない?」
突然のひらめきに、迅の瞳も心も輝いた。
嵐山の今の性格は、別にボーダーによって培われたものではない。あの最初からどこか芯が通った様子は揺らいでない。それが真っ直ぐで、真っ直すぎて…。齢15で迅なんかよりずっとしっかりしていた、あの時の嵐山准。
そうだ。あの時点でもう迅は嵐山に恋をしていた。ボーダーやマスコミや一般人の大人相手にしても臆することなんてなかった、その時の。
「っ、ああ。作戦室に今までのトリガーはしまってあるな。最初のも、もちろん」
「じゃあ今度さ。それ使ってみてくれる?」
「それは構わないが…こういうことはしないぞ?」
「えー?」
さすが生真面目。トリガーの私的利用だなんておくびにも出さない。今回、迅に手を出したのも不可抗力があってゆえという部分が強いのだろう。
「だって昔の迅ももちろん悪くないけど、やっぱり俺はきちんと今の迅を愛したいからな」

過去・未来・現在…そうだ。二人の手の中には全てがある―――
その全てを受け入れられるそんな嵐山を、やっぱり迅も好きだから…ああまた、抱きつきたくなる。そして、実行する。





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